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社会福祉法人の合併事例研究(島根県海士町)|セミナーレポート

2025.10.06
セミナーレポート

2025年9月16日~9月19日に開催しましたセミナー「島根県海士町における社会福祉法人合併に関する事例研究」では、外部講師をお招きし、社会福祉法人同士の合併について取り上げました。

少子高齢化や人口減少の加速により、地域に根ざした福祉サービスの持続可能性が問われる昨今、社会福祉法人の経営体制にも変革が求められています。こうした中、島根県海士町における3つの社会福祉法人の合併は、地域課題に真摯に向き合い、より強固で柔軟な福祉体制を構築するための先進的な取り組みとして重要なモデルケースとなります。

本セミナーでは、その合併に至るまでの経緯や克服された課題、そして合併後の成果と展望について、実務の最前線に立つ片桐様にご講演いただきました。

はじめに

本セミナーは二部構成で、第一部に「島根県海士町における社会福祉法人合併に関する事例研究」というテーマで片桐様にご講演いただきました。第二部では、受講者からの質問をインタビュー形式でご回答いただき、合併のきっかけや合併で一番難しかった課題について触れました。

セミナー開催の背景

海士町における社会福祉法人合併は、少子高齢化・人口減少が進む地域において、福祉サービスの質と持続性を確保するための非常に重要なモデルケースと捉えています。全国の社会福祉法人ならびに行政機関福祉担当者におかれましても、大変貴重なケーススタディとなろうかと思います。

本セミナーを通じて、合併に至るまでの経緯、直面された課題、そしてそれを乗り越えた具体的な方策、さらには合併後の成果と展望について広く共有していただくことで、全国の福祉関係者が抱える経営課題解決の一助となるよう企画しました。今後の地域福祉のあり方を考える上で貴重な学びの機会を提供することを目的としました。

セミナーの概要

  • 開催日時:2025年9月16日(火)13:00~9月19日(金)16:00(オンデマンド配信)
  • 開催形式:オンライン
  • 講師:片桐 一彦 様(社会福祉法人 海士町社会福祉協議会 事務局長)
  • 主催:一般社団法人福祉経営研究機構

セミナーの一部をご紹介

舞台となる島、海士町とは?

海士町は、人口2,263人(令和7年5月時点)、高齢化率38.8%の島です。近年はIターン移住者が人口の2割を占めるなど、島外からの移住者も一定数受け入れています。

コンビニエンスストアの設置を拒否しており、不便という価値を大切にしている島です。

福祉においては、島に4つの社会福祉法人(合併前)が存在し 、全ての法人で人材不足に直面していました。入院施設や総合病院がないため、島唯一の特別養護老人ホームである諏訪苑(あま福祉会)が「終の棲家」として医療的ケアや看取りの役割を担っていました。

法人合併に至った経緯

セミナーでは、実際に合併を経験された片桐様から数々の課題に対し、どのような過程で合併承認に至ったかをお話しいただきました。事業連携も候補にはあったそうですが、「恒久的な人口減少」「経営基盤・組織体制の弱体化」「次世代へ課題を残せない」「事業連携では見えない、見せない課題」を背景に法人合併しか選択肢はないという結論に至ったそうです。

講演項目

  • 海士町(あまちょう)の紹介
  • 合併にいたる経緯
  • 合併してみて思うこと

参加者から講師へ質問

セミナーの申込時に参加者から講師に回答いただきたいことを募集しました。第二部では以下のような質問に対してご回答いただきました。

  • そもそも今回の合併の話は、どこから議論として浮上し、どのような形で他の法人に打診されたのでしょうか。またその際の海士町の判断や関与の度合いを教えてください。
  • 合併のタイムスケジュールは、どの程度の期間を見込めば良いでしょうか。
  • 合併にあたり、一番難しかった課題はどのようなことでしたか。
  • 離島ということで、今後も経営環境が厳しいことに変わりがないと思いますが、様々な課題解決に向けて、合併後の新法人はどう取り組んでいかれますか。そしてどのようなことを実現したいとお考えですか。

アンケート結果からみた参加者の課題

セミナー終了後に実施したアンケートでは、現在の貴法人における合併・事業継続に関する検討状況は、「将来的な課題として、引き続き情報収集・検討を行いたい」との回答が特に多く挙げられました。

セミナーを受講した感想

  • 経営難により法人合併も視野に入れており、経験者の話を聞くことで、ストレス緩和になった。
  • 同じ悩みを抱えていましたが、当法人で出来る事、町で出来る事、合併へのイメージが湧かなかったが、その点詳しく説明をいただいたので大変参考になった。
  • 今後の離島中山間地における好事例との印象を持った。

最後に

今回の海士町の事例は、地方の小規模な組織が直面する「福祉の崩壊」という深刻な危機に対し、行政と民間が一体となり、「できるだけ早く」という覚悟を持って乗り越えた貴重な教訓であります。特に、職員の不安に寄り添い、不利益を生まないよう行政が全面的なサポートを行った点は、合併を成功させる鍵であったと言えるでしょう。

合併や事業譲渡などを含めた事業規模の最適化は、非常に時間を要するものであり、課題が差し迫る前に情報収集を行い、備えておくことが大切です。


福祉経営研究機構では、相談内容に応じて専門事務所をご紹介しております。話を聞いてみたい、どこに相談したらよいか分からない、なども大歓迎です。お気軽に「お問い合わせ」よりご連絡ください。

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