独立行政法人福祉医療機構(以下「機構」という。)から表題のレポートが発表されています。
機構では、障害福祉分野における職員不足等の現状と人材確保への取組みを把握することを目的に、貸付先の障害福祉サービス等事業所(以下「事業所」という。)を対象にアンケート調査を
実施しています。
このレポートでは、2023年度に実施した調査の結果から、事業所における職員の充足状況、
採用活動および退職者の状況について概観しています。
【半数以上の事業所が職員不足】
➢ 職員の充足状況
●職員が不足していると回答した事業所は52.6%であり、2020年度調査からやや上昇。
●令和4年度の障害分野における有効求人倍率は、前年度の2.10倍から0.34ポイント上昇し、
2.44倍であった。
●サービス体系別では、居宅介護や相談支援事業、地域移行支援などが該当する
「その他の事業」において69.4%の事業所で職員が不足している一方、就労系は33.0%で
あった。
●経営主体別にみると、社会福祉法人立の事業所では61.2%が不足していると回答した。
一方、営利法人立は46.0%、その他法人立は44.4%であった。
●不足感が強い業務として、居住系では夜勤が、児童系では送迎が挙げられており、
サービス体系別に差がみられる。
● 2020年度調査と比較すると、職員不足により通所サービスを制限していると回答した
事業所が増加。
●人材確保が難しい要因 として、2020年度調査よりも「他産業より低い賃金水準」を
挙げた事業所が増加
➢ 採用の状況
● 新卒の採用活動を実施した事業所は全体では30.9%にとどまるものの、サービス体系・経営
主体別で傾向に差がみられる。
●サービス体系別では、居住系は45.1%の事業所で新卒採用活動を実施していた。
一方、就労系は、社会福祉法人立を含め実施割合が低かった。また、児童系はいずれの
経営主体でも新卒採用活動の実施割合が比較的高かった。
●新卒採用活動で使用した媒体・経路は、居住系では「法人・事業所のホームページ」、
「合同説明会への参加」、「資格取得のための実習受入れ」の割合が高く、
就労系では「ハローワーク」、「求人サイト」、「職員からの紹介」、「大学等の教員や
OBを通じた推薦・仲介」の利用割合が高かった。児童系は、「人材紹介会社」を活用した
新卒採用活動の割合が他よりも高かった。
●新卒以外の採用活動で使用した媒体・経路 は、居住系は新卒と同様に「法人・事業所
ホームページ」や「合同説明会への参加」の実施割合が高かったが、「職員からの紹介」や
「福祉人材センター(社協)」も高く、様々な媒体・経路により、採用活動に取組んでいる
ことがわかる。
日中活動系は、「ハローワーク」の活用割合が高かったが、それ以外の採用媒体・経路の
活用割合は高くない。
また、児童系は新卒と同様に「人材紹介会社」の利用割合が比較的高かった。
●2022年度中の採用活動で人材紹介会社を利用した事業所は18.7%あり、2020年度調査から
約5ポイント上昇している。
●人材紹介会社を利用して常勤の正規職員を採用できた施設に対し、1年間に人材紹介会社に
支払った手数料の総額を調査したところ、平均135.4万円であり、手数料を支払って採用した
平均職員数は2.1人であった。
➢ 退職の状況
●2022年度中に定年退職以外の退職者がいた事業所は70.9%であり、とくに居住系では
81.0%で退職者がいた。
●退職理由で、全体でもっとも多かったのは「転職」の48.1%、、次いで「体調不良」の
37.3%、三番目が職場の人間関係であった。
詳しくは以下のURLから確認できます。
独立行政法人福祉医療機構ホームページ
2023 年度障害福祉サービス等の人材確保に関する調査について
https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/240329_No.016.pdf
2023年度障害福祉サービス等の人材確保に関する調査結果
https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/240329_No.016.detail.pdf