独立行政法人福祉医療機構(以下「機構」という。)から表題のレポートが発表されています。
機構では、毎年度、貸付先の社会福祉法人の経営状況について調査を実施しています。
本レポートではその調査内容から、2022 年度の経営状況、主たる事業別の経営状況、人材確保の状況について分析しています。
【経費率の上昇に伴い、サービス活動増減差額比率は大幅に低下】
➢ 社会福祉法人全体の経営状況
●2022 年度の社会福祉法人のサービス活動収益対サービス活動増減差額比率(以下「サービ
ス活動増減差額比率」という。)は、前年度から0.8 ポイント低下し、1.7%となった。
●経常収益対経常増減差額比率も0.7ポイント低下し、1.9%となった。
●サービス活動収益対経費率(以下「経費率」という。)をみると、前年度から 0.9 ポイント
上昇している。これは、サービス活動増減差額比率の低下幅 0.8 ポイントとほぼ同じ水準で
ある。したがって、2022 年度に社会福祉法人の経営が悪化した主な要因は、経費率の上昇と
言えそうである。
➢黒字・赤字法人別の経営状況
●人件費率に着目すると、赤字法人のほうが 4.0 ポイント高い 70.0%となっており、
従事者 1 人当たり人件費も 55 千円上回っている。
●従事者 1 人当たりサービス活動収益をみても、赤字法人のほうが 286 千円低い
6,127 千円となっている。
➢ 主たる事業別の経営状況
●サービス活動増減差額比率をみると、すべての類型で低下しているが、そのなかでも、
介護主体法人は 1.0 ポイント低下し、0.7%まで低下している。また、障害主体法人は
0.8 ポイント低下、保育主体法人は 0.2 ポイント低下という結果であった。
●介護主体法人は、設立経過年数が長くなるほど、サービス活動増減差額比率は低下傾向。
●保育主体法人は、事業規模 1 億円未満の区分で、サービス活動増減差額比率が低い傾向。
●障害主体法人は、事業規模や設立経過年数によって目立った傾向はみられず、
運営している施設・事業によって経営状況は異なる模様。
➢ 職員の確保状況
●従事者数は近年増加傾向が続いていたが、2022 年度はわずかに減少に転じる。
●採用率・離職率ともに介護主体法人の数値が高い。かねてより介護業界の人材不足は
深刻な状況と言われているが、離職率は他の区分よりも 3 ポイント程度高く、
人材の入れ替わりが激しい。
●採用率から離職率を差し引いた数値を「採用超過率」と定義し、主たる事業別に経年
推移をみていく と、介護・保育・障害の全分野で右肩下がりとなっていることがわかる。
とくに介護主体法人は、先ほどみたとおり、2022 年度は△0.5 ポイントのマイナスと
なっている。保育主体法人と障害主体法人についても、2018 年度の水準と比べると、
低下が著しい状況である。
詳しくは以下のURLから確認できます。
独立行政法人福祉医療機構ホームページ
https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/240318_No.015.pdf